「 4月のお言葉 」
『莫道此華今年発』 空海『拾遺雑集』
いうことなかれ 此の華 今年 発くと
新年度が始まりました。
新たな学校や職場、これまでとは違う環境に身を置き、戸惑いながらも日々を過ごしておられることでしょう。
年々、満開の時期が早まっている桜も、早くもはらはらと散り始めています。
その様子を「ああ、花びらが春風に乗って美しい」と感じる方もいれば、
「せっかく咲いた桜が散っていく。もの悲しいことだ」と思われる方もあるでしょう。
同じ景色であっても、感じ方は人それぞれです。
それは今、自分がどのような心境にあるかによっても違ってまいります。
以前にもご紹介いたしました、お大師さまの詩に、次のようなお言葉があります。
莫道此華今年発 いうことなかれ 此の華 今年 発くと
応知往歳下種因 応に知るべし往歳種因を下せることを
因縁相感枝幹聳 因縁相感じて枝幹聳ゆ
何況近日過早春 何に況んや近日早春に遇うをや
意味:
今年咲いた花を見て、「今日この花が咲いた」と思ってはならない。
過去に蒔いた種が、今日の花の因となっていることを知りなさい。
因と縁とがあいまって幹は伸び、枝は繁る。
そうであれば、やがてまた春に遇わないことがあるだろうか
仏教では「因縁」「因果応報」という教えを説きます。
何もせずに花が咲くことはありません。
目には見えないところで蒔かれた種が、時間を経て芽を出し、やがて花を開くのです。
また、お大師さまはこうもお示しです。
「迷悟、我に在れば発心すれば即ち至る」
迷いも悟りも、自らの心にあります。
ひとたび「こうありたい」と心を発し、歩みを進めるならば、その一歩こそがすでに到着への道なのです。
自らをよりどころとして、弛まぬ努力を重ねていくとき、必ずやそれぞれの花が開いてまいります。今日の発心は、やがて満開の桜へとつながっています。
お疲れのときには、どうぞお参りにいらしてください。 合掌
